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だいぶ秋らしくなってきました。

すっきりした青空の日が続いています。 

身体に優しい時期でもあり、果物も美味しく色づきスーパーに沢山並んでいて色鮮やかです。

食欲も沸いて体力をしっかりつけたい時期ですね。

 

ただ悲しいニュースも飛び込んできました。

韓国での156人が死亡した群衆による事故は日本人も巻き込まれてしまい、悲しい結果となりました。

こんな事故が起こることを想像もしていませんでしたが、人が密集する所は避ける必要性を学びました。

群衆意識や身の危険を感じた時の人間の心理は「われ先に」が狂気的になってしまう事の現れだったのでしょうか。

 

私達の日常では、誰もが感じている事と思いますが、インフレによる物価の値上がりがもの凄いスピードで加速しています。電気代の負担は想像を超えてきました。

 

企業の使用する電気代は数十万から数百万になる為、経費の負担が商品の値上げを押し上げています。

ガソリン代も小売り品も建築資材も本当に高騰しています。

諸外国だと暴動やデモが起きても不思議ではない位のインフレですが、日本人は子供の頃から集団意識を教育されているため、どんな時も静かに我慢してしまいます。

この状況が落ち着くのはいつの事になるのでしょうか…本当に心配です。

 


私達は裁判による判例情報を日々チェックしています。

不動産が絡むトラブルが多いので、どんな判例が出るかは今後の管理や契約にも影響します。

今回気になる案件の判例が出ましたので、貸主様に直結する情報をお届け致します。

 

問題物件は昭和377月に賃貸借契約が開始された築57年の木造住宅です。貸主借主双方相続があり、

奥様や子供に承継され現在に至る案件です。

この年数を聞くと「ああ取り壊しの申し入れだなあ」「この年数なら明け渡しも許可出来るだろうなあ」と想像します。

 

双方の主張として、貸主側は建物の耐用年数をはるかに超え修繕費用も多額にかかる事が予想されるため、地震への危険度を考えても解体するのが賢明であろうと主張し、解約の条件として840万円の立ち退き料の提供と代替物件の用意を提示しています。

 

反対に借主側は、老朽化・陳腐化は否定できないが、東日本大震災の際も取り立てた被害は発生しておらず、また一級建築士の意見書から、比較的平易かつ安価で補強が可能である事がわかっている事、

加えて借主は昭和9年生まれで心臓のカテーテル手術を受け、動脈瘤の他呼吸器に問題があるため、転居は精神的身体的に負担を課すため立ち退きできない、との主張でした。

 

しかし、貸主側は、借主は解約に応じない理由に疾病をあげているが、喫煙したり外に出歩く等ができて重篤な様子ではなく、転居が取返しのつかない事態を招くとは思えないとも主張をしています。

 

このように双方見解の違いがあれば、決着は裁判でという事になり、裁判所が下した審判に従う事となります。

 

そして裁判所の判決が以下のように下されました。

 

・建物は昭和34年の建築確認・完了検査を受けた建物で、鉄筋コンクリートの布基礎で複雑でない外壁面の平家であるため、補強は比較的簡易で済む

・東日本大震災を含む地震において損傷の後は見当たらない事からある程度の地震には対応出来ると想像でき、加えて専門家の意見である事から不合理な点は見当たらない

・また借主の疾病は肺気腫の進行が著しく、風邪でも命に関わる事態になると医師から注意喚起を受けており、既に平均寿命に相当する高齢であることから、住み慣れた本件建物からの転居は生命、身体に関わる事態を引き起こす懸念は社会通念上客観的に見て合理的な根拠があると考えられる

・一方、貸主の建替え計画は貸主自身が直接使用するものではない事から、借主を直ちに退去させ本件建物を建替える必要性は見当たらず、本件解約告知に正当事由があると認めるには困難である

 

この判決の論点は、「建物を利用する事情」と「建物の老朽化の現況等」になっていますが、単に古い、築年数が耐用年数を上回っている、というだけでは解約告知の正当事由にはならない事を知っておいて頂く事は、貸主様にとっても今後の建替え判断の上で大事な知識です。

また貸主自身が利用する場合でも、借主の生活拠点を変えるだけの相当たる事情が必要です。

 

建物に倒壊の危険があり解体の必要性を正当事由として判決が出た事例もありますが、今は貸主側からの相当たる事情がないと解約や退去立退きの申し入れは困難な時代となっている事を認識頂き、長期計画で専門家と相談しながら将来を考える時間を作って下さい。